尊敬する力

エッセイ

 自己啓発本にありそうなタイトルを付けてしまった。折角なので、悩める人生の中でこの記事に辿り着いた皆さんの期待にお答えしよう。

ディスだけがラップじゃない

今年の高校生RAP選手権は、予選さえ行われたものの本戦は状況が状況だけに、惜しくも中止となった。残念に思っていると、5/8にYou Tubeチャンネルにて本戦出場予定であった16名の高校生たちによる、大会中止を受けた後のそれぞれの気持ちをラップする様子がアップされた。ファンとしては、嬉しい限りだ。

 そもそもMCバトルはよく知られたものなのであろうか。今だからこそ、上記の番組や『フリースタイルダンジョン』といった、マスコミの介入が多くなったヒップホップシーンではあるが、"ラップのやり方"という点においては、万人が共通に知っている事柄と言うには、あと一歩なのではないか。

 MCバトルのルールを簡単に言えば、裁判などのディベートに近い。観客は相反する考えを持った2人の言い分を聞き、審判となる人がどちらの理論がより的確かを決める。裁判のそれと違うところは、"かっこよさ"という得点が追加される点だ。ラップと言われて思い浮かべる方も多いかもしれないが、同じ母音の言葉を連続に使うという"韻を踏む"という行為は、正に"かっこよさ"を生み出す装飾のひとつだ。

今までラップに無縁であった方も、一度MCバトルを観てみては如何だろう。日々の鍛錬で培った技術を一瞬のうちに巧妙に練り、それを組み合わせたものをビートに乗せて討論することは、聴いていてとても気持ちがいい。もしかすると知らぬ間に貴方も魅了されてしまうかもしれない。

 話が逸れたが、今回のテーマは"尊敬する力"だ。このままでは、どこからか「何故に二言目に出てきたのがラップなんだ?論点として、大きくズレてるいのではないか?」というパンチラインが飛んできそうである。相手がそう来るのであれば、次は私のターンだ。そう感じた方に逆に聞きたい。ディスるだけがラップだと思っているのではないのか?多くのMCバトルを観ていると、自然と戦いを審議する目も肥えてくるのである。これは、私の持論ではあるが勝てるラップをする人は、ディスを知る前に相手へのリスペクトを知っているのだ。

そもそも、尊敬する部分を知っていることで、一方的にディスを飛ばしてくる相手よりも広い視点で相手の理論に対応できる。試合によっては、リスペクトすることで相手までも包み込んでしまうという、感動さえも生み出してしまう試合があるのだ。ここまでで、なんとなくではあるが、尊敬することの大切さとMCバトルの面白さをお伝えすることができたのではないか。

スマートな指摘

 では、現実世界に話を戻そう。職場や学校での関わりにおいて、人を誰彼構わず尊敬しろと言われて簡単に尊敬できるはずはない。しかし尊敬することによって、相手に対して反論したときに、改善すべき部分を相手に受け入れてもらいやすくなるのであれば、その尊敬に対する価値を見いだせるのではなかろうか?

 誰しも反論されるのことに、面白味を感じることはないであろう。面白味どころか、苛立ちすら覚えるのではないか?相反する考えを突きつけられたとき、本来の人間であれば反論したくなるのかもしれない。しかし、それぞれではあるが、何処かでぐっと堪えることができる人もいるのかもしれない。確かに、円滑に話をすすめるという点で良好な手段なのかもしれないが、相手に対しても自分に対しても寂しさを残した選択なのではないかと思う。では、このような場面において、円滑に話をすすめることができ、且つ言いたいことを相手と共有できる良い方法はないのか?と聞かれれば、あるではないかと言うのが私の答えだ。

 尊敬している部分を伝えた上で、より良くなる事柄として相手の改善すべき部分を伝える方法が、最も望ましい方法に近いのではないか。「貴方は、こんな良いところがあるね。それは、自分も見習わないといけない。でも、これができたらもっと素敵だね。」と言われて、必ずしも不快に感じるという人は少ないのではないのか?それは、相手が自分のことを認めていると感じると共に、理解された相手からの提案と捉えるからではないだろうか。言う側も言われた側も、気分を悪くし、悩むというような、改善するという点においての無駄な時間を過ごさず、スムーズにより良くなろうと肯定的に目標を捉えることができる。


 この方法を使うにあたって、やはり尊敬する力が必要となるのではないか。長い人生を過ごせば、きっと合わないと感じる人の一人や二人は必ずしも出てくるであろう。だが、合わないと思う人のことを愛すことができる人も一人や二人は必ずしもいるはずだ。このような人が存在するという点において、自分がまだ気づいていない彼らの良い部分があるのではないか。また、それを知らずに"合わない"で片付けてしまっては、勿体ないではないかと私は思う。尊敬する力を伸ばすという点において、相手の良いところを探すということは重要だ。しかし、相手のことを必ずしも好きになる必要はない。これは、言いたいことを相手にスムーズに聞き入れてもらえる環境を作るという目標への準備段階にすぎないのだ。

スポンサーリンク

お笑い芸人から学ぶ尊敬する力

 昨年のM1グランプリは、お笑い芸人『ぺこぱ』が人気を博した。それは、突飛由もない行動を取る相方を否定することなく肯定的にツッコむという芸風が、今までの芸人とは異なり、物珍しいからだと認識する人も多いだろう。しかし、人気の原因となる事柄はそこから更に掘り下げたところにあると私は思う。普段何気無く生きている我々が、ただ"突飛由もない行動"として捉えてしまうことに対して、その行動を理解しようと働きかけ、その行動に対するメリットを考える力に人々は感銘を受けているのではないのか。ここでも、私達が自然と尊敬する力を好んでしまっている事がわかる。

リスペクト

ここまで、長々と話してきたが、頭で理解していてもいざ行動となると話は別だ。私だって偉そうにここで話しているが、行動に移すことができているかは定かでない。しかしこの文を読み、尊敬することに対する疑問や尊敬することへの素晴らしさの理解に繋がれば幸いに思う。

 前回の記事にも述べたとおり、人付き合いは難しく、私だって上手いわけではない。嫌いなものは嫌いなのだ。そんなときは、MCバトルやお笑いを観てストレスを発散することが何よりも大切なことなのではないか。本当に自己啓発チックになってしまった。読み返して赤面すると共に、我ながら色々考ているのだと自らに関心まで覚える。自らに尊敬する点がひとつ増えた、今日くらいは自分自身を褒めてやろうと思う。

追記:ライターの友人である管理人がこれに対して書きました。

https://plus1life.com/respect2/

コメント

タイトルとURLをコピーしました